あらすじ
清水 奈摘(しみず なつみ)、22歳。
大学を卒業し、お洒落な家電メーカー『リビングルーム 株式会社』に入社した。
主な商品は、リビングで使う家電でホットプレートやグリル鍋など、電気で安全に調理ができ、出来立てを食べられる優れもの。
奈摘の実家でも、母はよくそういった家電を使っていた。それには理由がある。
奈摘がまだ9歳で小学3年生の時、学校帰りによく遊びに行っていた『秘密基地』があった。通学路の途中にある林の中に、使われなくなった小屋があった。木製で古いが中は広く、中にはいくつかの木製の空箱があり、それをテーブルにしたり、玩具などを入れる箱にしたりしていた。
そこには奈摘の他に7人の男女が集まり、一緒に遊んでいた。
そんなある日『秘密基地』が火事が起きた。奈摘は燃えさかる『秘密基地』の中で見つかった。発見された時、奈摘をかばうように覆い被さり、焼けた柱の下敷きになっていた男の子がいる。彼のおかげで奈摘には腰からお尻にかけてヤケドの痕が残ったが、それだけで済んだ。彼も大きなヤケドを負ったが、無事助かったのだ。
だが奈摘は病院で目覚めると、火事の事はおろか『秘密基地』の事もそれ以前の事も憶えていなかった。
医師の診断は、心的外傷(トラウマ)による記憶喪失だ。あまりにも苦痛な記憶から自分を切り離し、無意識的な心理的防御メカニズムであるという事だった。
記憶がない奈摘は火事のあと、一緒に遊んでいた『秘密基地』の友達と会う事もなかった。
成長とともに、幼少期の記憶は少しずつ消えていく。思い出そうとすれば思い出せる記憶もあるが、9歳の頃の記憶はほとんどない。奈摘に残ったのはヤケドの痕だけ。奇しくも、当時の記憶を失う事で、奈摘は普通の生活を送る事が出来ていたのだ。
その事件以来、何かのキッカケで当時の事を思い出し奈摘が怖い思いをするかも知れないと、母は奈摘の前で火を使わなくなった。
ヤケドの痕を持ち記憶の一部を失っている、清水 奈摘 22歳が、どのような恋をしていくのか、楽しんでいただければ幸いです。
*今回も一人称(なつみ視点)で物語が進みます。物語がすすむにつれ、他の視点もお送りします。
*一応、レーティング設定をしておきます。