あらすじ
百年前、世界に“ダンジョン”が出現した。
魔力という新たなエネルギーが社会を変え、
魔法学は物理学や工学と並ぶ学問として定着した現代。
日本のダンジョン産業を支える巨大企業〈榊原グループ〉——
その創設者は、ダンジョン出現初期の混乱期に社会を安定へ導いた人物、榊原重臣。
彼の遺志を継いだ一族は、現在も探索・研究・素材流通など
ダンジョン関連事業を幅広く展開している。
その家の次男として生まれた榊原壮馬は、
幼少期から圧倒的な知性と魔法の才を持ちながら、
すべてに意味を見いだせず“退屈”の中で生きていた。
兄は完璧な後継者、
家は盤石、
未来は約束されている。
——それでも、何かが足りない。
そんな彼がある日ふと手を伸ばしたのは、
地位でも名誉でもなく、会社が築いてきた“技術”そのものだった。
それは、退屈を塗り替える最初の衝動。
そして、ひとりの天才が“世界の仕組み”を遊び始める物語の幕開けでもあった。