あらすじ
『すべての善良な少年は天国に行く ― 塩対応の小悪魔に恋した ―』
君はいつも
イヤホンの向こう側にいた
誰の声も届かない
閉じた世界の中で
ただ、低音だけが君の心臓みたいに鳴っていた
「いい子は天国に行く」
そう言って、笑う唇の端に
悪戯みたいな嘘が光る
指先が私の頬に触れた瞬間、
世界がノイズに包まれた
冷たいのに、熱い
残酷なのに、優しい
それが、君のやり方だった
夜のカフェ、雨の匂い、
流れるネオンの光
――君の横顔は、まるで
堕ちていく天使みたいだった
「俺は悪い奴だよ」
「でも、お前を天国に連れていける」
その言葉の意味を、
私はまだ信じたくなかったのに
心の奥が、甘く疼いた
音楽が止まるとき、
君の吐息だけが聴こえる
指の先が震える
唇が触れた瞬間――
天国は、もう遠くになかった
もし、次の生まれ変わりがあるなら
君をもう一度見つける
たとえ、そこが地獄でも構わない
だって、
君という悪い少年が教えてくれたから
“天国”は場所じゃない――
それは、君の腕の中にあった。