あらすじ

彼女は蝶々になった。 そして、蟲だらけの檻に閉じ込められてしまった。 僕らも収監された… 彼女と僕ら、あの十月の日に。 檻。 その檻は間違いなく… 僕らを標本にするためのものだった。 押し花にしてしまうためのものだった。 サーカスの動物にするためのものだった。 ピアノ線。 彼女はそう形容していた。 僕の大切な彼女は、蟲だらけの檻の中で、僕らを守って… そして標本になってしまった。 ピアノ線のお人形になった。 今でも時々思い出す。 僕があのころ愛した、あのころ一番好きだった… 優しくて臆病で傲慢な愛しい彼女。 結局、キスも抱きしめることも許されずに… 彼女は標本になった… 石ころになってしまった。 いつでも思い出している。 僕はいつでも彼女を思い出している。 僕の真っ白い病室… 窓際に座っていると、よく思う… 彼女が本当に蝶になったのだとすれば、この窓から訪ねてきてもいいのに。 でもきっと彼女は来ない。 僕のところに現れない。 きっと、僕は彼女に会えないまま… きっと会うより先に、僕自身の頭がおかしくなってしまうの。 日に日に思考が混濁していく。 記憶が薄れて、嘘と本当が混じり合っていく。 全てが実在性を失っていく… だから書き留めておくことにした。 僕がいつまでも彼女のことを忘れないように… 彼女がいつまでも、僕の大好きな彼女でいるために。

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小説を読もう2025/10/29
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