あらすじ
> 風が止んだ――その日、世界は神話を失った。
かつて、この大陸には“風脈”と呼ばれる魔素の流れがあった。
それは命の循環であり、魔法の源であり、世界そのものの呼吸だった。
しかし、ある日を境に風は途絶えた。
魔素は濁り、生物は変異し、文明は沈黙した。
人々は「風の喪失」を 《静寂の終焉(サイレンス・フォール)》 と呼び、
それを神罰として恐れた。
――そんな世界で、ひとりの青年が目を覚ます。
彼の名は、ミナト・カナギ。
かつて存在した超古代文明《オーバーアーク時代》の人間。
つまり、“過去から転送された最後の技術者”だった。
手首に巻かれていたのは、半透明の多層リング構造――
《EchoBAND(エコー・バンド)》。
それは、かつて彼自身が開発に関わった「リストア・アーカイバー」。
過去の記録と物質を“再構成”するための装置。
だが今では――
魔素と融合し、“呪われた記録装具”として息づいていた。
呼び出せば魂を削る。
再構成すれば記憶が失われる。
それでも彼は、過去の自分が残した“風の設計図”を追い求める。
彼の手に握られていたのは、
ナノマシンで構成された古代の刃――
《神風(カミカゼ)》。
それが魔素と混ざり、青白い風紋を纏うとき――
世界は再び“動き出す”。
滅びた都市、風を失った大地、魔法と科学が融合した人類の残骸。
出会う少女・アイシャは風を信じ、
孤独な観測者リラは“人の心”を測り、
無骨な戦士カイルは拳で道を拓く。
そして謎多き学者ノヴァは、沈黙した神の声を追う。
> 「風を取り戻せば、世界は蘇る――
でも、もしそれが“間違った記録”だったら?」
過去と未来、科学と魔法、記録と魂が交錯する。
滅びの先に残った少年は、
世界に再び風を吹かせる旅へと出る。