あらすじ
鏡に映る自分の顔が日々変化していることに気づいた主人公は、三年間描き続けている自画像と向き合う。ある日「あなたの顔を返却します」という謎の手紙とともに、顔の形をした穴が写った写真が届く。自画像の裏側を見ると、そこには描いた覚えのない別の顔が浮かび上がっていた。表裏が入れ替わり、裏側こそが真の自画像だと気づいた時、主人公の身体は透明化し始め、最後には消失してしまう。残されたのは、表裏の区別もつかない一枚の絵。そこに描かれた顔は永遠に変化し続け、描いた本人がもはや存在しないという不条理な結末を迎える。