あらすじ
この世界はつまらない。そして、俺たちこそが、その世界から捨てられた二つの『廃棄物』だ。
30歳の江口優星は、生活保護を受け、精神病院への入院経験を持つ唯物論者の左翼オジサン。
彼は、労働と消費のサイクルに飼いならされた社会を疲れた心で憎み、整列した書籍の要塞に引きこもっている。
彼の数少ない楽しみねの一つは、駅で出会う15歳の少女、共永唯。みすぼらしい司祭服を纏い、タロットとセレマつまり魔術思想を信奉する彼女は、学校や家庭に居場所がない「オカルトガール」だ。
「貴男は星になれていない。参入儀式を受けなさい。」
「俺は、たんなる生理現象の羅列だよ。」
唯の神秘主義と優星の徹底した唯物論は、決して交わらない。しかし、彼は彼女に「人生初の恋心」を抱いてしまってる、彼女は彼の魂の「錆つき」を認め、救おうとする。
腐敗した賞味期限切れの卵と、哲学の本に囲まれた部屋で、二人は社会への皮肉と、存在の真実、そして制御できない性的な欲望について、淡々と、そして激しく語り続ける。
劇的な展開は起こらない。いや起これない。ただただ、淡々と世界から隔絶された場所で、二つの異質な魂と身体が、言葉と哲学を武器に対峙する。
知的刺激とニヒリズムを求めるあなたに贈る、硬質で切実な現代思想ドラマ。