あらすじ
ここは記憶の回廊。
あらゆる世界、あらゆる時代の“手紙”が、最後に行き着く場所。
それは届かなかった想い、果たされなかった願い、言葉にならなかった祈りが集う、静謐なる終着地。
そこで生まれた存在──「手紙の悪魔」。
いつ、どこから生まれたのかも分からない。
ただ、届かなかった手紙を管理し、覗き見る存在。
しかし、ある日届いた一通の手紙が、彼の永遠を変える。
それは、戦地で散った男が妻へ宛てた、
届かぬはずの愛の手紙だった。
悪魔はその記憶を覗き、初めて理解しようとする。
“なぜ人は愛し、別れ、祈り、絶望してもなお生きるのか”。
やがて彼は知ることになる。
届かぬ手紙一つ一つに、人の魂の欠片が宿っていることを。
そして、その欠片を覗くたびに、自身の中にも“何か”が芽生えていくことを。