あらすじ

この後、カナクとノード政府は交流をさらに深める事となり、毎月の様に船がカナクと ノードを行き来し、人と物資の往来が始まった。ノードからは主に電線やプラスチック等 の資材が輸入され、カナクからは果物・布製品が輸出され、カナクの港は賑やかさを増し ていた。カナクのアイドル的存在のエミーは、ノードでも大人気となり、カナクとノード の友好3年目の行事でノードに招待され、千人近い大観衆の前で歌を披露する事になった。 観衆は「My Funny Valentine」の歌声に涙し、「Stand By Me」の歌声に歓声をあげて踊 り始めた。最後に「Bridge over Troubled Water」を歌いだすと、観客全員の合唱が始ま り、会場の空調が聞かない程の熱気にあふれた。エミーの人気は高まり、ノードの人々は エミーに帰って欲しくないと懇願し、三カ月も滞在を伸ばした程だった。滞在中にエミー は少なくとも三十人のノード人男性から結婚の申し込みをされた。そしてとうとう、エミ ーはノスロ族の友好使節団の代表で一緒にデュエットしたリアムの求婚を受け入れ婚約し、 一度カナクに帰国してから正式にノードに移住する事になった。  エミーが3カ月ぶりにカナクに帰って来た数日後、それを知った多くのファンがエミー が勤めるラジオ放送局に詰めかけた。ファンは、エミーがいつも通りの笑顔でマイクの前 にいるのを見て安心したようだった。放送中、エミーは突然こういう発表をした。 「皆さんにお知らせがあります。私はノードの男性と結婚する事になりました。今まで、 私を支えてくれたファンの皆様やスタッフには言い尽くせない程感謝しています。しかし 私はその男性が好きになりました。どうしても結婚したいという気持ちがあります。私が 、その男性と結婚してノードに移住する事を認めていただけますか?」 見守るファンからは、はじめ悲鳴が上がり、しばらくの沈黙の後で、 「結婚おめでとう!」「幸せになってね!」という声援が上がり、大拍手となった。 エミーは涙を流しながら、「ありがとう!」と笑顔で手を振った。 その後数日間、エミーの周りではファンや関係者の大騒ぎが続いた。  騒ぎが収まり、エミーがノードへの出発に向けて準備を始めたころ、不幸が起きた。 エミーが自宅のドームの近くではげ猿に襲撃されたのだ。

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カクヨム
カクヨム2025/10/29
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