あらすじ
地方の進学校・県立羽佐見(はさみ)高校。
田園地帯にある静かな学舎で、生徒たちは模範的な教師・**間宮修司(まみや しゅうじ)**に憧れていた。
「生徒一人ひとりを愛し、導く教師」――そう呼ばれた男。
だが、彼には感情がない。
喜怒哀楽を装い、模範的行動を演じ、他人の“心の動き”を観察しながら支配していく。
間宮の中では、人間は「秩序を乱す動物」でしかなかった。
彼の教室は、笑顔と挨拶に満ちている。
だがそれは、“よく訓練された羊の群れ”のような静けさだった。
ある日、生徒の一人が屋上から転落する。
学校は「自殺」と断定。
だが、国語教師の立花真帆は違和感を覚える。
教室の黒板に残された文字——
《正しい指導を受けられて、幸せでした》
真帆が掘り下げていくうちに、職員室の中で封じられてきた“教育的狂気”が露わになる。
生徒の家庭、進学実績、教師同士の序列。
すべてが間宮の支配下にあった。
夜の校舎。
職員室の電灯だけが灯り、窓の外で風鈴が鳴る。
その中で間宮は微笑む。
「教育とは、淘汰だよ。人間の形を保ったまま、壊していく作業なんだ」