あらすじ
「このグレイスめが、必ず──憎き怨敵の首をお送りいたします」
江戸末期。クラシックなメイド服を纏い、銀縁の丸眼鏡をかけたグレイス・アンドリューは腰に日本刀を佩きながら二百六十五年ぶりに日本の大地を踏み締めた。編み込んだ黒髪を揺らしながら向かう先は──今まさに薄汚れた少女に乱暴を働こうとする、貴族風の男の元だった。
「いや、今俺たちはこの餓鬼に仕置きをするところなんだが」
「それはどうぞご自由に。私はこの子どもではなく、あなた方に用があるので」
「……変な女だな」
しかし、少女の頭に角があると分かった瞬間、彼女は黒鞘の刀を引き抜いた。
「事情が変わりました。その子を保護します。あなたたちは死んでください」
男たちを惨殺し、少女を保護するグレイス。
そんな彼女の元に、女と酒を引っ提げて一人の美丈夫が現れた。
新選組壱番隊隊長・斎藤 一(さいとう はじめ)。
「斬られて、血を浴びて、それでもなお、アンタは揺るがない。心を失くしたように、どこまでも強く輝くことができる──美しさを損なわない。だからこそ思う。そんなアンタの崩れた顔が見たい。なぁ、どうか俺に抱かれてくれよ」
あまりにも荒唐無稽すぎて歴史上から抹消された、新選組の裏の騒動。その一部始終。
神より分かたれた血を持つメイドの、新選組を巻き込んだ小さな復讐劇、ここに開幕。