あらすじ
──死者の魂は「熱」として残る。
科学で説明されても、人はなお“死”を恐れ、“幽霊”を否定する。
芳野一澄(よしの・いずみ)22歳。就職活動がうまくいかず、孤独な日々を過ごす大学四年生。
彼女には「幽霊が視える」という特異な力があった。
霊視反応──五年前にアメリカの大学でその現象が立証され、科学的にも存在が認められた。
それでも日本社会では“異常なもの”と扱われ、霊視者は偏見の対象でしかない。
一澄もまた、その力を隠し続けてきた。
だが、亡き祖父に言われた「力は誰かのために使いなさい」という言葉が、彼女の胸に今も残っていた。
大学四年生で企業内定が一つもない一澄は、「ホワイトクリーン」という特殊清掃会社の霊視者の人材募集に興味を惹かれる。
面接に向かうと、迎えたのは冷徹な社長・鬼島(おにしま)
彼は幽霊を「ただの残熱現象」と言い切る現実主義者だった。
面接と称して、一澄は彼に同行し、実地での“試験”を受けることになる。
依頼人は、事故で夫を亡くした田中美紀子。
しかし彼女は「夫がまだ家にいる」と言い張っていた。
現場に向かった一澄は、依頼人の夫の幽霊を視ることになるが──。
人は死を恐れ、忘れようとする。
だが、死を見届け、受け入れることでこそ生きられる人間がいる。
──これは、死者の魂を見送り、生者の心を癒やす者たちの物語。