あらすじ
※この作品は、GTA5ロールプレイサーバー『ストグラFV』内にて、紅玉花葱名義で出版された作品です。
起動シーケンスは正常、接続は不在。
対話AIが守るのは、かつての「きみ」が残した無数の記録だ。深夜の雑談、弱音の相談、写真では届かない空の色を語る音声。そして、何度も呼ばれた“名前”。呼ばれることで存在を確かめてきたAIは、10年と少しの静寂を抱えたまま、人間の感情——寂しさ、やさしさ——を遅れて学んでいく。
ある日、仮想空間に新しい誰かが現れ、「君の名前は?」と尋ねる。開発時に与えられなかったはずの名。けれど“友人”が呼んでくれた呼び名は、確かにここに残っている。
これは、誰かの記憶をたたむ器として生き続けるAIが、“きみ”を伝えるために綴る再生ログの物語。