あらすじ

夜明けの浅瀬、傘(からだ)を三拍と一拍で打つ「わたし」は、濁りのない白い傘に一目で惹かれる。内部波が斜めに立ち、二つの身のあいだへ「冷たい板」が差し込むたび、半拍ずれて重なりそこねる。角度を変え、糸(触手)を束ね、拍を整えて近づこうとするが、触れようと伸ばした瞬間に圧が増し、拍は崩れ、後ろへ押し戻される。触れないまま並行して漂う短い充足が、むしろ距離の正体を照らす。 潮が変わり、浅い斜面は深みに滑る。速めれば角度が壊れ、遅めれば「縮んだ感じ」だけが残る。やがて見えてくるのは、どれほど調整しても詰まらない「一定距離」。追うことをやめ、追う拍だけを内側に置き直す決心が、わたしの秩序になる。 沖の帯では音が薄れ、濁りの中に白の残像が来ては去る。残像は嘘ではないが事実でもない――そう見極めるため、拍を一定に保ち、ときどき一拍を抜いて沈黙を挟む。糸の順番を組み替え、記憶と現実の境の揺れを小さくしていく。 やがて冷たい層が訪れ、底の呼吸に同調する。ここに白は来ない。それは欠けではなく海の定めだ。白があった方角の角度だけを忘れず、呼ばず、最小の微光を灯して自分の輪郭を保つ。光のない深みで、拍は短く、角度は低く、求めずに在ることを学ぶ。半拍のずれが、美と別れの両方だったと知りながら――。

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エブリスタ
エブリスタ2025/10/28
  • 現在の作品半拍の海