あらすじ
昭和二十年十月。
太平洋戦争を終え混沌とした日本の中で、平和で穏やかな場所があった。それは、結核患者が療養する施設、サナトリウム。
主人公の九条尊(くじょう たける)が生活しているサナトリウム、ベタニアの家はキリスト教の教えをもとに開院された施設。金持ちばかりの患者がいるベタニアの家は、戦時中、戦後の不景気にも、穏やかな空気が漂っていた。
尊は幼少期に母を失い、父からの暴力の末、右耳を失聴している。学生生活で出会った雑誌をきっかけに絵が趣味。
十九歳で受けた徴兵検査で不合格になり、家を追い出され、女の家を転々とした生活していた尊は、偶然ベタニアの家の院長に出会い、画家兼患者の話し相手兼下働きとして、結核患者ではないが生活するようになった。
尊がベタニアの家で二年過ごすうちに、戦時中だった日本は終戦。
そこに、ヒロインである広幡凪(ひろはた なぎ)が入院してくる。
凪は四歳の時に片目を失明し、視力の残る片目もやがては結核菌で見えなくなる運命だった。
「目に見えるものにはなんの価値もないですから」
「目に見えなくなっても触れればそこにあるってわかるだろ。価値も意味もないなんて言わないでよ」
※歌詞は著作権切れの「カチューシャの唄」を引用しています