あらすじ
夜、とある小さな居酒屋。二人の男が戸を開け、中へ入った。
「あら、いらっしゃい!」
「おー、ミコちゃあん。来たよお!」
「ふふっ、後ろの方はお友達? いらっしゃいませ」
「どうも……」
彼は柔らかく微笑み、軽く会釈した。店内をぐるりと見渡す。飾り気のない木のテーブル、くすんだ白壁にずらりと貼られた短冊メニュー。琥珀色の照明が古びた空間に温もりを添えている。
懐かしさと安堵がないまぜになったような空気――典型的な大衆酒屋だ。こうした場所に足を踏み入れるのは、いつ以来だろうか。と、彼は胸の奥で小さな高鳴りを感じた。
「じゃあ、かんぱーい!」
「かんぱーい!」