あらすじ
時は神話の時代。
太陽が輝く朝を守る夜明けの騎士団・団長。
そして、月光の輝く夜を守る巫女、ルー・メイ。
ふたりは牢獄を挟み、向かい合っていた。
3年もの間、鍵と巫女の自由を求める争いが続く……。
その争いに月光は怒り、大波が太陽を呑み込んでいった――。
永遠の罪を背負う約束を交わし、騎士団長は黄金の鍵で夜明けを閉じる。
たとえその身に二度と年月が交わらなくても、彼はひとりでその責任を負った。
その神話から600余年の時が過ぎる。
夜の深度がわずかに浅くなったその夜、乙女が生まれた。
神話時代の黄金の鍵を握りしめて――。
男系一族唯一の乙女……リアンク。
彼女の誕生間もなく、ルー・メイ家に忍び寄ったのは漆黒の夜鷹。
その影を阻む若き父、ヴィーラント――。
夜鷹の頬をスラリと剣先で撫で、妻と子を守ろうと立ち塞がる。
その父の一瞬の隙に入り込むように、夜鷹はリアンクを奪い去った。
なのになぜ。
己をさらった男へ、微笑みを向ける赤子。
その笑顔を見て、夜鷹の頬を涙が伝う。
神殿の門の前で解放されたリアンクも来年いよいよ成人を迎える。
一方年子の兄、アントリーは一足先に成人を迎えた。
剣技を磨き、尽くすことを誓ったアントリーが夜浅(ヨハジ)の街を背にして旅立つ。
そして歯車は回りだした。
旅立った兄へ誇りと嫉妬の両立する眼差しを向けていたリアンクに声をかけたのは大神官マーリヴォルト。
神話の真実が、いま語られる。
願うことは罪なのか。
誇りを持ち、前を向き続けることは愚かなのか。
その問いの答えを知る時代へと、いま、時計の針が進んでいく。
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