あらすじ
14歳の双子、陽気な兄・朔(さく)と内向的な妹・望(のぞみ)は、5年前に交通事故で亡くなった両親を想いながら、毎年「お月見の儀式」を続けてきた。きっかけは、母が生前に語った「私は月の世界から来たの。死んだら月に帰るのよ」という不思議な寝物語。もし、月に帰っても『お月見の儀式』をしてくれたら戻ってくるとも語っていた。
兄はそれを信じ、妹は半信半疑のまま、儀式に付き合ってきた。
今年の秋、二人はついに母の遺品から「御月見儀式之書」と題された手紙を発見する。そこには、月に願いを届けるための正式な作法と和歌が記されていた。十五夜、十三夜、そして十日夜——三度の月夜に稲穂を供え、和歌を吟じることで、月の世界とつながるという。
迎えた十日夜の晩、兄妹は満を持して儀式を執り行う。すると、家の前に一台のタクシーが現れ、そこから降りてきたのは…………。