あらすじ

『世界でたった一人の俺 ― 生まれてきてごめんなさいと言った少年 ―』

生まれてきて、ごめんなさいと
声にならない声で つぶやいた
教室の隅 落ちた消しゴムのように
誰にも拾われないまま 時間だけが過ぎていく

ノートは真っ白 文字は踊る
チョークの音が遠く響いて
「また忘れたの?」と笑う声が
胸の中で針になって刺さった

だけど ひとりの先生が言った
「君の中にも 光がある」
信じられなかった だけどその言葉だけが
冬の陽だまりみたいに あたたかかった

ペンを握った夜
紙の上では 俺が生きていた
誰も知らない世界で
俺の言葉が 息をしていた

“陰キャ”と呼ばれた声が遠ざかる
“ねくら”と笑った顔がぼやける
世界のどこかで 誰かが
俺の物語を読んで泣いてくれる

それだけでいい
ざまぁなんて言わない
俺はもう、自分を見下ろさない
この命で、生きてみせる

芥川の光が まぶしい夜
拍手の中で ひとりの少年が立つ
“生まれてきて、ごめんなさい”が
“生まれてきて、よかった”に変わる

世界でたった一人の俺
書くことでしか 生きられなかった俺
それでもいい この心が燃えるなら
それが、俺という証だから

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アルファポリス
アルファポリス2025/10/26
  • 現在の作品『世界でたった一人の俺 ― 生まれてきてごめんなさいと言った少年 ―』