あらすじ
(冒頭)
夜空を見上げると、無数の星々が静かに瞬いている。
けれど、私たちが見ているそれらの光は、「いま輝いている星」ではない。
数千年、数万年、あるいは数億年前に放たれた光が、
ようやく地球に届いたものだ。
たとえば、あなたがいま見上げているある星の光は、
恐竜がまだ大地を歩いていた時代に出発したかもしれない。
そして、その星はもうとっくに燃え尽き、灰になっているかもしれない。
けれど光だけが、虚空を渡り、いまこの瞬間、
あなたの瞳の奥にやさしく届いているのだ。
光には、時間の重みがある。
それは「いま」を照らすものではなく、
遠い過去の名残を私たちに見せているに過ぎない。
つまり、宇宙を見上げることは、
「現在」を見ることではなく、「過去の記憶」を見ることなのだ。