あらすじ
魔法を使うには、許可がいる――。
星歴二五〇〇年代、魔法は“才能”ではなく“制度”に支配された。
国家魔導具《レガード》が魔力を徴収・分配し、すべての詠唱を監視することで、人々は“秩序ある奇跡”を手に入れた。
だが、それは同時に“管理された自由”の時代でもあった。
魔法監査官――
彼らは、魔法を監視する最後の人間たち。
国家の信頼を背負い、制度の裏側に潜む歪みと人の悪意を暴く者たち。
南域監査支部の監査官カイン=ヴァルメルと、新人補佐官ノエル=アスカリナ。
二人が追うのは、ひとつの小さな火災事件。
だが、それはやがて《レガード》という魔法インフラそのものの根幹を揺るがす――
国家規模の魔法犯罪へとつながっていく。
倫理と秩序、正義と矛盾。
魔法が法となった世界で、人はなお、何を信じて“魔法を使う”のか。
魔法を“使う”者の物語ではない。
魔法を“正す”者たちの物語。
『魔法監査官カインの期末報告』――制度の影を暴く、法と魔法の監査譚。