あらすじ
満月の夜、燃料切れで漂流する二人の許嫁。
優雅な船旅のはずが、気づけばガレー船方式で陸を目指すはめに――。
上流階級の恋は、今日も波に揺られて進行中。
津太 侑燐(つだゆうり)
淡い銀色の長い髪を持つ少女。腰まで流れる髪は月光を吸うように輝き、紫の瞳は静謐な印象を与える。
育ちは完璧、教養も礼儀も叩き込まれた“お嬢様”――のはずが、中身は筋金入りのサボり魔。
腹筋はうっすら割れ、余計な脂肪など一切ない身体をしているのに、普段は「腕が細いからムリ」と平然と言い張る。
趣味はクライミングと昼寝。基本的にどんな状況でもマイペースで、燃料切れで漂流中の船上でも「月が綺麗ですね」と呟ける神経の持ち主。
許嫁である康弘にだけは、甘えたり反抗したりと子供のような一面を見せる。
一応「好き」と口にしたこともあるが、それが本気なのか、からかいなのかは、誰にもわからない。
松平 康弘(まつだいら)やすひろ)
黒髪にややウェーブがかかった、優しげな雰囲気の青年。
平均的な身長で細身、繊細そうな顔立ちは「チワワみたい」と言われることもしばしば。
津太家と釣り合う由緒ある家の一人息子で、幼少期から礼儀正しく従順な「良家の坊ちゃん」として育てられた。
だが実際には短気で怒りっぽく、特に侑燐のサボり癖とマイペースさには日々ストレスを感じている。
侑燐のことを「手がかかるけど放っておけない」と思いつつ、ツッコミ役に徹するのが彼の日常。
本人は自覚していないが、彼女の暴走に付き合ううちに、体力も精神力もかなり鍛えられている。
「豪華客船のつもりで人生乗り出したら、気づけばガレー船を漕がされていた」――彼の現状を表す名言である。