あらすじ
男は黒い痣を、女は白い痣を持って生まれる。
黒は戦い、白は癒し。
それがこの国〈パウロニア聖国〉の理であり、神の秩序だった。
だが、ミセル・アマリリスはその両方の痣を持って生まれた。
男でも女でもない、異端の子。
神官に隔離されながらも、圧倒的な魔力と才覚によってやがて若くして宰相へと上りつめる。
理を外れた身ながらも、理を信じ、秩序を重んじながら、どこまでも清廉で孤独な彼の前に現れるのは、優しき治癒師ユリウスと、黒薔薇の傭兵ザカリー。
――これは、“二つの印を持つ者”が、神の沈黙と人の愛の狭間で何を選び、何を祈ったのかを描く幻想譚。