あらすじ
港町で発見された、一体の「芸術的に展示された死体」。
樹脂に封じられ、背には蝶の羽を模した切創が刻まれていた。
捜査にあたる刑事・川本理沙は、現場の静謐な美しさに言葉を失う。
やがて彼女は、美術界から追放された元画家・福原雅彦の存在に行き着く。
彼は人間を“素材”として「永遠の美」を追求する――標本師。
次々と現れる“作品”たち。
その造形は、彼がかつて描いた未完のシリーズを現実化したものだった。
理沙は彼を追ううち、いつしか“観察者”から“被写体”へと転じていく。
美とは何か。命を奪っても残すべきものがあるのか。
終わらない展示の果てに、彼女が見たものは――
“理解”という名の狂気だった。