あらすじ
最下層から塔の頂点へ。
試験ひとつで人生が変わる国で、少年は夢を見る。
──実力主義国家メリトクラシア。
この国では、すべての者が〈グローリアテスト〉と呼ばれる国家試験を受け、七段階の階級に振り分けられる。
与えられる立場は、最下層〈ウンフェーイグ〉から頂点の公爵まで。
階級差は、富と名誉、自由と束縛、生と死をも分けるほどに絶対だった。
さらにこの国にはもうひとつの仕組みがある。
人間は宝石、エルフは植物──名はその人柄や宿命を映し出す。
呼ばれることは、存在を認められることに等しい。
名を持つことは祝福であると同時に、試練でもあった。
ジェイド・レオンハルト、十歳。
平民の子として生まれ、最下層の暮らしに耐えながらも、彼は夢を見続けていた。
「試験に合格し、いつか高みに登る」──その思いだけを支えに。
やがて彼は国家試験に挑む。
凡庸と評され、笑われても、信じた道を歩むために。
そして試験の後、彼は出会う。
白銀の髪と褐色の肌を持つ、異国のダークエルフの少女──アイリスと。
彼女は奴隷として蔑まれ、名すら呼ばれない存在だった。
「……それでも、隣にいたい」
互いにそう願ったとき、ふたりの絆は試験を超えて結ばれていく。
だが、その影で彼らを見つめる視線があった。
審問庁の観察官、記録魔術師ヴィオラ。
そして“封じられた力”という謎。
ジェイドは知らぬまま、国家の監視対象となっていた。
最下層の少年と、名を呼ばれぬ少女。
ふたりの選択は、やがて国全土を揺るがす火種となる。
──名は力。試験は運命。
少年と少女が掴む未来は、希望か、それとも絶望か。
本作は『メリトクラシア』のリブート版として、物語構成・心理描写・世界設定を再構築した改訂版です。
旧版の根幹を受け継ぎつつ、より深く「実力」と「絆」の意味を描き直しました。
初めて読む方も、かつての読者も、新たな“階段”を共に登ってください。