あらすじ

風が吹く。
 音風(おとかぜ)市の空を、校舎を、楽器たちの眠る部屋を。

 それは、音を運ぶ風。
 それは、絆を結ぶ風。
 それは、まだ誰も知らない風。

 窓辺のティンパニが、わずかに震える。
 錆びたスタンドに立つスネアが、そっと共鳴する。
 ボロボロの天井からこぼれる光の粒に、ホコリが舞い、静かに空気が変わっていく。

 その部屋は古い。
 壁には時の傷跡、床は軋み、譜面棚には忘れられた名前が眠る。
 けれどそこには、いくつもの音楽の記憶が生きていた。
 ビンテージの打楽器たちは、誰かの想いを、痛みを.歓びを.すべて音に変えてきた。

 そしていま——その部屋に、3つの風が舞い降りる。

 一人は、風を追いかける少年。
 一人は、風に耳をすませる少年。
 一人は、風の名をまだ知らない少女。

 3つの鼓動が重なったとき、沈黙していた楽器たちは、そっと目を覚まし始める。

 音が生まれ、
 音が混ざり、
 音が、風となる。

 まだ何者でもない彼らが、ひとつの夢を奏でようとしている。
 中学一年生の春。
 ここから始まる物語は、きっと——

 音楽と風が、未来を導く旋律になる。

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アルファポリス
アルファポリス2025/10/25
  • 現在の作品音楽と風