あらすじ

昔勤務していた高校で生徒を一人失った過去を持つ元教師、田島晴人。 今は文科省の臨時調査官として、「教育現場の改善」という名目で各地の学校を巡っている。 外見は穏やかで“昼行灯”のように見えるが、心の奥にはまだ贖罪と疑念がくすぶっていた。 そんな田島が次に派遣されたのは、香蘭医療看護専門学校。 実習中の学生の不祥事と、学内の評価制度をめぐるトラブル――それが調査の名目だった。 しかし、そこには偶然とは思えない再会が待っていた。 かつて但馬の高校で教えていた教え子、小谷百花がこの学校の三年生として在籍していたのだ。 穏やかな笑顔の裏に何かを隠しているような彼女。 そしてその傍らには、彼女を強く守ろうとする恋人の谷口蒼太の姿があった。 調査を進めるうちに、田島は少しずつ学校の内部に潜む“沈黙”に気づいていく。 優秀で知られる佐久間准教授の研究室、なぜか口を閉ざす学生たち、 実習先で起きたとされる“ある事件”――。 その事件の裏には、医療倫理を巡る判断と、誰かの罪があった。 やがて田島は、 かつて守れなかった生徒と同じ「選択の瞬間」を再び目の前にする。 「真実を明かすことが、誰かをまた傷つけるとしたら―― それでも、教師は声を上げるべきなのか?」 “白衣”は清らかな象徴であると同時に、 沈黙の中で汚れを隠す仮面でもある。 鳥取の静かな町で、 田島はもう一度、教えるという意味と向き合う。

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小説を読もう2025/10/25
  • 現在の作品【教育調査官、田島晴人の事件簿】其の一 白衣の沈黙