あらすじ
婚約者を妹に奪われ、王都を追放された公爵令嬢エリシア。
雪の降る森をさまよい、命の灯が消えかけたその瞬間——彼女はひとりの男に救われた。
無口で、冷たく見えるけれど、どこか懐かしい瞳をした男。
彼の名はルシアン。
森の奥で静かに暮らすその人は、誰にも語らない過去を抱えていた。
やがて二人は、ひとつ屋根の下で穏やかな日々を過ごす。
言葉少なな彼の不器用な優しさに触れるたび、凍りついていたエリシアの心は少しずつ溶けていく。
薪を割る音、食卓の温もり、夜に交わす小さな会話——
「幸せって、こんなにも静かなものだったの?」
しかし、平穏は長く続かなかった。
ある日、王都からの使者が森に現れる。
そして、エリシアは知る。彼女を救った男——ルシアンこそ、かつて姿を消した“王弟殿下”であることを。
罪を背負い、名を捨て、孤独に生きていた彼。
追放され、心を失っていた彼女。
そんな二人が出会い、互いの手を取って再び歩き出す。
「俺だけの妻に——」
彼がそう誓ったとき、すべての痛みは愛に変わる。