あらすじ
「……う、はい……うん……ああ、わかった。すぐ向かうよ」
おれは電話を切り、短く息を吐いてリビングへ向かった。
……あった。これのことか。電話で言っていたとおり、ソファの上に紙袋がぽつんと置かれていた。今日の夕食会に持っていくはずだったらしい。たぶん中には、友人への土産が入っているんだろう。この前、ちょっと遠出して買い物したらしいからな。
おれは紙袋を手に取り、サンダルをつっかけて家を出た。車に乗り込み、エンジンをかける。
会場は繁華街のビルの屋上にあるビアガーデンだった。蒸し暑い夜気が肌にまとわりつき、人の熱気に圧倒された。楽しげな笑い声が渦を巻き、頭にガンガン響く。香水と食べ物の匂いが入り混じって、鼻を突いた。胸の奥がムカついて、おれは思わず口を押さえた。