あらすじ
聖を帯びた人々と魔を帯びた魔族が、互いの正しさを信じ、魔法で、剣で、戦い、領土を得る為に殺し合う世界『イーフォン』
そんな世界の中で、人々は魔族を追い詰めて行く。
そんな劣勢を感じた魔族の足掻きか、それとも足止めか。
多くの魔族達が魔王の号令の元、持ちうる殆どの魔力を使い、世界へと大規模な地殻変動魔法を起こす。
つまり、世界各所をダンジョン化してしまうという暴挙に出た。
数百、数千からなる大小異なるダンジョンに散りばめられていく魔族や魔物達。
そうして、平野も森も村も街も、そうして一般人も武人も構わずに、その魔法は多くを飲み込み、ダンジョンとして沈黙した。
そのダンジョンが浅いか深いかなど分からない。
誰がいるかも、何があるかも、分からない。
分かっているのは、上へ上へと、登っていく構造になっているというだけ。
その弊害は確実に世界に及んだ。勇者は魔王を討てたかもしれない。それでもその事実すら、穴の中には届かない。
無関係のはずだった人々もまた、最後の最後に、戦いに巻き込まれてしまったのだ。
世界がダンジョンだらけになった日、とある辺境の村で、互いに親の無い二人の少女が仲睦まじく、小さく多少貧相な家ではあっても『二人の我が家』で幸せそうにお茶菓子を摘んでいた。
いつか強くなって、獣や蛮族から村を守りたいと鍛錬してきた『魔法使いを志すクク・ステラ』と、『剣士を志すティア・アルフェ』
その二人の少女は、立っていられない程の地響きに慄く。
地響きが止み、二人が恐る恐るドアを開けた先にあったのは、二人が丹精かけて育てた花の咲く小さな庭園では無く、茶褐色に塗れたダンジョンの中だった。
この未知からの脱出を目指す為に、二人は静かに手を取る。
互いが想う、互いの為に。