あらすじ
「社会」が正しかったのか。「自由」が正しかったのか。
1970年代初頭。高度経済成長の波に乗り切れない、あるいは乗ることを拒否した日本の若者たちのエネルギーは、政治闘争から「内面世界」と「自然回帰」へと向かっていた。
エリートコースを捨てたケンは、都市の享楽的なフーテン生活に空虚を見出し、元学生運動のリーダー・ヨシムラが中央アルプスの廃村で立ち上げた共同体、「神鳴赤烏村」に加わる。彼らは理想に燃え、土を耕し、純粋な愛と自由のユートピアを築こうと誓い合う。
しかし、その理想郷は、次第に二つの強大な圧力に晒されていく。一つは、冬の飢餓と厳しい自然。もう一つは、リーダー・ヨシムラの独裁と、都市と密かに繋がる謎の女性・サキが持ち込む「裏切り」の影だ。
純粋な理想は、人間のエゴと生存本能の前でどこまで耐えられるのか?
雪に閉ざされた山奥で、彼らが信じた「愛と平和」の曼荼羅は、いつしか「恐怖と偽りの魅力」を意味する毒