あらすじ
森の哲学者だった小熊のコアは、世界の真実を知りたいと願っていた。
人里との境界線で出会ったのは、孤独な少年リュウ。言葉はなくても、小さなボール遊びの中で、二人は「魂の共鳴」を感じ、純粋な友情を育んでいく。それは、コアが生まれて初めて知った、愛の確かな手触りだった。
しかし、その奇跡は残酷に引き裂かれる。
わが子を守る本能的な愛。リュウの母親と母熊、同質の愛が、人間の「無知な恐怖」と「社会的正義」へと歪められ、悲劇的な衝突を引き起こす。
乾いた銃声が響き渡り、世界は沈黙した。
痛ましい別れの後、少年リュウがたどり着いたのは、愛の証を「誰にも奪われない真実の墓」に埋めるという、静かで力強い守護の決意だった。
少年は大人になった今も自問する。あの琥珀の瞳の奥に、本当に悪意は宿っていたのだろうか、と――。