あらすじ
『悪役令息はエゴイスト』
― 美しい悪役令息と、愛に溺れた青年 ―
鏡よ、鏡。
この瞳に映るのは、誰の愛だろう。
冷たい水面が囁く――
「君は誰を愛している?」
それは他人の声であり、
同時に、僕自身の声だった。
薔薇の香をまとい、微笑む。
けれど胸の奥では、
誰にも見せぬ渇きが血のように滲む。
触れられたいのは、肌ではなく心。
見つめられたいのは、顔ではなく魂。
君の瞳に、僕が映る。
僕の瞳に、君が揺れる。
互いに相手を抱きしめながら、
僕たちは、ゆっくりと“自分”を探していた。
ナルキッソスは水に沈み、
浩輔は涙に祈った。
そして僕は、
愛に沈み、赦しに溺れる。
エゴとは孤独の名。
だが、愛とはその孤独を
他者と分かち合う勇気。
もしこの世界が鏡でできているなら――
君を愛することは、
僕を映すことなのだろう。
そして今、
砕けた鏡の欠片に映る僕は、
ようやく、微笑んでいる。
「エゴイストで、かまわない。」
だって僕のエゴは、
君を愛した証だから。