あらすじ
この街では、息をするにも理由がいる。
“呼吸税”が導入されてから、人々は「正しい呼吸」を競うようになった。
SNSには「#感謝」「#前向きに」「#努力」──そんな空気で満たされている。
息をするたび、誰かの評価が喉を通り抜けていく。
ある朝、息苦しさに倒れた僕の前に、風のような存在──“妖精さん”が現れた。
「ねぇ、君、息してないよ。」
意味を追いかけすぎて呼吸を忘れた人間と、
重くなった空気を軽くするために降りてきた妖精さんの、
小さな会話の物語。
息の仕方を、もう一度思い出すために。