あらすじ
第一部『椿ノ首』――一九八〇年代前半。
講談師・幽玄亭灯心は、ある日隣家に住む若者清花家椿太と師である春桜が言い争いをするのを目にする。大事な一門の落語界を二日酔いのために欠席するというダメな師を椿太は殴り飛ばし、逆にその奔放さに魅かれ、灯心は彼の友となる。互いの家に通いながら、年の離れた友人たちは付き合いを続けるが、ある日椿太の家の蔵で不思議な書物とノートを読みふける彼を、灯心は目撃する。
灯心とは友好な関係を築きつつも、自分の師や清花家一門からは冷遇される椿太。大きな落語会が催されるその日、スケジュールに空きがあったのは体調不良を起こした椿太のみという不幸な偶然が重なったことで、落語会で大失態を犯す。
落語会でのミスと殴られた恨みから春桜は、椿太を家から追い出す。さらに春桜は、赤木敦というヤクザから大きな借金があったが、その対価として椿太を売り払ってしまう。
騙され、何もかもを奪われて、喉まで潰された椿太は、壊された妹の病室で自ら命を絶つ。
そして、すべてを呪った……
第二部『堕ち華』――二〇〇〇年代初頭。
ボクは、お世話になっている作家の西川詩子の取材の手伝いをすることになる。それが清花家一門を巻き込んだ別名『椿花事件』と呼ばれるものだった。その事件の唯一の証言者、幽玄亭灯心とコンタクトを取る。
彼から詳細を聞き、事件と死を呼ぶ魔人のことを追う二人。
だが、その話を聞いた瞬間から、悪しき魔人の気配が二人へと忍び寄って――