あらすじ
月の光には、人の心を映し出す暗号がある――そう気づいた高校生の「僕」は、天文部の観測中に月のクレーター模様からモールス信号を見いだす。その暗号を解読した夜、月明かりに照らされた人の「影」から心の声を読み取る能力を得た。最初は興味本位で使っていたが、他人の本音を知り過ぎて苦しむようになり、封印を決意する。
そんな折、孤独な同級生・葉月あかりに出会う。月を見上げて微笑む彼女の影には、「だれか、私の心を読んで」と浮かんでいた。彼女の寂しさを知った僕は、彼女の心を救いたいと願い、少しずつ言葉を交わすようになる。月夜の屋上での逢瀬を重ね、彼女は次第に心を開き、やがて恋が芽生える。しかし、葉月は「これからは言葉で話したい」と告げる。僕はルナコードを使うことをやめ、彼女と真実の絆を築くと誓う。
だが、新たな転校生・月島透が現れ、同じ能力の使い手として僕に囁く。「言葉は嘘をつく。信じられるのは心だけだ」と。惑う僕は再び葉月の心を読んでしまうが、そこには「信頼されていないのかな」と彼女の悲しみが記されていた。自らの愚かさに涙した僕を、葉月は優しく許し、「不安なら言葉で話して」と手を握る。
その後、二人は本音で向き合い、愛を告げ合う。葉月は言う――「ルナコードなんて、最初から幻覚だったのかもしれない。でも、それであなたに出会えた」。月の光がふたりを照らす中、僕は悟る。心を読む力より、言葉こそが人と人をつなぐ真の暗号なのだ、と。