あらすじ
春の風が吹く教室で、少女・朝比奈澪は「ALS」という進行性の病を抱えながら、静かに、しかし確かに生きていた。
声が少しずつ失われていく未来を前に、彼女は「僕」に問いかける——「私の声、覚えていてくれる?」。
それは、ふたりの物語の始まりだった。
澪の声は、録音という形で残され、やがて詩となり、音楽となり、校内に静かに広がっていく。
彼女の存在は、病に奪われるのではなく、言葉によって記憶されていく。
「僕」は、彼女の代弁者となり、彼女の詩を読み、彼女の沈黙を聴き、彼女の呼吸を記録する。
季節が移ろい、澪の声が限りなく沈黙に近づく中、ふたりの関係は言葉を超えた共鳴へと変わっていく。
やがて「僕」は、澪の声を継ぐ者として、彼女の不在と向き合いながら、風の中に彼女の記憶を探し続ける。
これは、声が消えていく少女と、声を記録する少年の、
春から夏へ、そして沈黙から詩へと移ろう、切なくも儚い青春の記録の物語