あらすじ

※カクヨムでも連載中です。 東の島国、五暁国(ごぎょうこく)。五つの島から成るかの国では唯一、妖と人が共存していた。 妖は水、木、火、金、土の五行の異能を、人は歌や言霊、絵、精神などの五行以外の異能を持つ。互いに強力な力を持つがゆえに、二百年前に人と妖による戦争が勃発。結果、妖が勝利し、終戦以降は妖の頂点に君臨する鬼がそれぞれの島を統治していた。また終戦後に結ばれた和睦協定により、妖は人を、人は妖をそれぞれ取り締まるため人妖警視局が創設された。 〈歌〉の異能を扱い、かつ警視局の幹部にその名を連ねる名家、歌川家。その長女である詩音もまた幼い頃から異能の訓練に励んでいた。しかし、異能が弱いあまり悪妖を退治することができない。おまけに突出した才を持つ妹の明音と比較され、両親から役立たずだと冷遇されてきた。やがて詩音は大好きな歌を歌うことさえできなくなってしまう。 「わたし、何のために生きているのかしら」 自分を必要としてくれる者はどこにもいない。 詩音は生きる希望を見出せず、ついにその命を絶とうと海辺へと足を運ぶ。だがそこで傷だらけになった妖――人魚の少女を見つけ、介抱する。人魚は個体数が少ない非常に珍しい妖で、その血は人間にとって不老長寿の効能がある。それゆえに人間の賊徒による人魚狩りに遭い、命からがら逃げ延びてきたのだという。 「お母さん……。お母さんの歌がまた聞きたい」 犠牲になった母親を想う人魚の少女は、涙を流しながら眠りについた。少しでも彼女が心安らぐようにと、詩音は子守歌を歌う。しかしその時、詩音は気づかなかった。己の歌声が人魚の少女の傷ついていた体をわずかに癒やしていたことに。 その光景を目の当たりにし、目を瞠る者が一人。北島領主の黒鬼にして、警視局第一部隊隊長の漣(れん)は詩音に歩み寄り、開口一番にこう告げる。 「俺の妻になってくれないか」 歌姫は朗々と歌う。 自分を愛してくれるたった一人の男性に。 純愛に満ちた恋歌を――。

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小説を読もう2025/10/24
  • 現在の作品黒鬼に捧ぐ恋歌 ~虐げられた歌姫は漆黒の鬼の寵愛を得る~