あらすじ
勇者パーティーの雑用係――それが、俺、リョータの役職だった。
授かったスキルは、【配達(デリバリー)】。ただ、指定した場所に、持っている物を届けられるだけの、戦闘能力ゼロのハズレスキル。
「戦闘の役に立たないお前は、もはやお荷物でしかない。出ていけ」
ある日、俺はそう罵倒され、パーティーから追放された。
一文無しで荒野をさまよい、死を覚悟した俺は、最後に、このクソみたいなスキルを使ってみようと思った。
(……俺の、最後の昼飯の干し肉を、俺自身に、“配達”してみるか)
そう念じた瞬間、俺の目の前に、信じられない光景が広がった。
《ようこそ、異次元マーケットプレイス『アリアドネの糸車』へ》
《検索窓に、ご希望の商品名を入力してください》
――俺のスキルは、ただの配達屋じゃなかった。
ありとあらゆるアイテムが無限にストックされている異次元の超巨大倉庫にアクセスし、それを取り寄せ、世界中のどこへでも瞬時に届けることができる、唯一無二の神の御業だったのだ。
俺は、ダンジョンの最深部で死にかけている冒険者から、一本100万Gで回復薬(ポーション)の注文を受けた。
俺は、敵国の城壁の下で矢が尽きた兵士たちに、一本10万Gで鉄の矢を“配達”した。
これは、無能と蔑まれた俺が、物流――すなわち“世界の血流”そのものを完全に支配し、富を、権力を、そして世界そのものを手に入れる物語。