あらすじ
雨が降る日。
アナベルの花が咲く時期。
約束をしたくせに待ち合わせ時間も守らない秋人に、夏芽はある一軒の廃屋へ連れて行かれた。
それは、夏芽が会ったこともない曾祖母の家だったという。
半年前に、自分に関する今までの人生十六年分の記憶を全て失くしてしまった夏芽は、この家で発見されたのだ。そんなことさえも、夏芽本人は知らない。
何が起こってそうなったのかも知らない。
いつだって、秋人は何かに言葉を包んで隠すように、ぼんやりとしか話してくれないから、苛立つこともしばしばで。
この家の庭に咲く白い紫陽花、アナベルの花。そして一編の詩が、徐々にすべてを明かしてくれる。
でも、本当に真相を知ることが、いいことだったのか。幸せなことだったのか。
約束も出来なかった二人の無かったはずの記憶と、これからの記憶の物語です。