あらすじ
こちらの作品は、今日もひとつだけ好きって言わせてください。シリーズの2人が登場しますが、単体でもお楽しみいただけます。
夕暮れ時を過ぎ、夜風が心地よい帰り道。バイト終わりの蓮くんと先輩は、いつものように並んで歩いていた。
その夜は空気が澄んでおり、見上げた夜空には、ため息が出るほど美しい満月が輝いていた。そのロマンチックな光景に、先輩は思わず「本当に、月が綺麗ですね」と口にする。
何気ないその一言が、隣を歩く蓮くんの心を激しく揺さぶる。
(「月が綺麗ですね」=「愛しています」……っ!?)
蓮くんの頭の中には、かつて授業で習った、その言葉に隠されたロマンチックな意味が響き渡る。まさか、先輩がそんな意図で言ったはずはない。ただ、月の美しさに感動しただけだろう。しかし、蓮くんの胸の高鳴りは止まらない。もし、この言葉が本当に先輩の秘めた想いだとしたら?
顔を真っ赤にして動揺する蓮くん。その純粋な反応に、先輩は気づかないまま、ただ月を見上げている。
告白と受け取れる言葉をかけられ、一気に気持ちが溢れそうになる蓮くんだったが、あと一歩が踏み出せない。もし勘違いだったら……、今のこの穏やかな関係が崩れてしまうかもしれないという恐怖が、彼の口を塞ぐ。
蓮くんが絞り出せたのは、ただの「はい、本当に綺麗ですね」という、感情を押し殺した言葉だけだった。
言葉にならなかった**「愛しています」**という蓮くんの秘めた想い。そして、ただ隣にいるだけで幸せを感じる先輩の純粋な心。
月明かりの下で繰り広げられる、もどかしくて甘酸っぱい、二人の**“あと一歩手前”の片想い**を描いた物語です。月の光が、二人の恋をそっと見守っています。