あらすじ
有名商社に勤めるエリートな婚約者・翔太さんのために、三年間、完璧な食事と家事で彼を支え続けてきた私、相沢美緒(あいざわみお)。彼に「プロポーズは三十歳の誕生日まで待ってほしい」と言われ、それを信じて尽くすのが私の幸せだった。
しかし、彼の二十九歳の誕生日。お祝いのディナーの席で、彼から告げられたのは感謝の言葉ではなく、一方的な婚約破棄だった。
「ごめん、美緒。君は地味で、もう一緒にいてもつまらないんだ」
彼の隣には、私の後輩である派手な女性が勝ち誇った顔で立っていた。
慰謝料も貰えず、家を追い出され、全てを失った私がやっとの思いで引っ越した古いアパート。その隣の部屋に住んでいたのは、昼夜逆転生活をしているのか、目の下に隈を作った無愛想で少し怖いイケメン・黒崎湊(くろさきみなと)さんだった。
ひょんなことから、作りすぎてしまった手料理をおすそ分けした日から、私たちの交流が始まる。
「…うまい」「おかわりは?」
無表情で、ぶっきらぼう。だけど私の料理をいつも綺麗に平らげてくれる彼と過ごすうちに、傷ついた心は少しずつ癒やされていった。
―――そんなある日、テレビに映る「時代を創る100人の天才」特集を見て、私は絶句する。そこにいたのは、日本最大手のIT企業を率いる伝説の若き社長…いつもボサボサ頭で私の前に現れる、黒崎湊その人だった。
地味で尽くすだけの女が、本当の価値を見つけてくれる人と出会い、胃袋と心ごと愛される、逆転シンデレラストーリー。