あらすじ
「あなたを赦せない――それなのに離せもしない」
かつてホルセムが誰よりも慕っていた血のつながらない叔父、トゥアルセティス。
だが彼は、ホルセムの父王を弑し、玉座を奪って逆賊の簒奪者となった。
五年の雌伏ののち、王子ホルセムはついに父王の仇、宿敵を玉座の間に追い詰める。
しかしそのとき、一迅の砂嵐が吹き抜け、神託が齎された。
――新王の妃は、トゥト神の加護を持つ者に……さもなくば国を邪神の災禍が見舞うであろう。
復讐の刃を振り下ろせぬまま、憎む相手を王妃に据えねばならない残酷な宿命に苦悩するホルセムは、トゥアルセティスを寝所で辱めることをせめてもの報復に代えようとする。
憎悪にまかせて組み敷いたはずの相手。
それなのに、肌のぬくもりに触れれば、幼い日のあたたかな記憶がよみがえる。
怒りと苛立ちにまかせて肌を重ねるほどに、憎悪と欲望とが絡み合い、ホルセムの苦悩は深まっていく。
赦せない――……そのはずなのに、どうしようもなく求めてしまう。
それは禁忌の愛か、それとも神々が仕組んだ運命なのか。
血塗られた玉座で織りなされる、執着と愛憎の王宮ロマンス。