あらすじ
昭和三十年代の京都、裏町の木造アパートに暮らすおりつは、ある朝、夫・宗助が巨大な金色の甲殻を持つ虫に変身しているのを発見する。体長は畳一枚分、宗助の近視鏡のような目を持つその虫は、金を食らう「金喰い虫」だった。隣人にバレないよう、おりつは虫を押し入れに隠し、小銭を与えるが、虫の食欲は止まらず、貯金やボーナスを食い尽くす。家計は困窮し、おりつは内職に追われるが、ついに耐えきれず虫を裏山の竹林に放つ。数ヶ月後、京都中央銀行に金喰い虫が現れ、金庫の金や札束を食い荒らすニュースが流れる。テレビに映る虫は、おりつを見つめるような宗助の目を持っていた。虫は銀行を抜け出し、京都の夜に消える。おりつは宗助の痕跡を胸に秘め、誰にも真実を語れず、裏山のカサカサという音や路地裏の金色の糞に宗助の面影を感じながら生き続ける。