あらすじ
あらすじ
異世界転生者が活躍する物語の裏側には、実は「演出部」が存在した――。
異世界演出部・田村麻衣、入社10年目。
彼女の仕事は、転生者のために魅力的なイベントを企画し、ドラマチックな展開を演出すること。暗殺事件、貴族の陰謀、英雄譚……すべては彼女たちが緻密に設計した「物語」なのだ。
しかし、その仕事は想像以上に過酷だった。
クライアントのゴブリンは嫌がらせばかり。鼻水を書類に垂らし、コーヒーをこぼし、椅子を齧る。田村の左目がピクピクと痙攣するが、それでも営業スマイルは崩さない。プロだから。
女神からは無茶振りの連続。「最近平和すぎて退屈♪」と、暗殺3件、テロ2件、国宝盗難に四天王の暗躍まで追加発注。田村は淡々と企画書を量産する。
そして何より厄介なのが、転生者だ。
3ヶ月かけて練った完璧な密室殺人事件。犯人の構図は某有名ミステリーそのまま、登場人物の名前まで似せたのに、転生者の綾辻あやとは「怨霊の仕業だ!」と言い張る始末。
「12箇所も刺して自殺とか無理でしょ!」「聞けよ!」「名前も似てるだろ、興味もて!」
田村の叫びは届かない。ただの監視映像だから。
仕方なく現地フォローに向かった田村を待っていたのは、さらなる試練。綾辻の『世界の可愛い女は全員オレに惚れる』スキルに翻弄され、「わーーーー!」と叫びながら逃げ回る羽目に。
それでも田村は諦めない。証拠を配置し、登場人物たちを誘導し、何としてでも企画を成功させようとする。プロとして。
さらには、システムエラーで自分が悪役令嬢役に割り当てられたり、80年前に転生した元日本人の老婆と出会ったり、6人から同時求婚されたり……異世界演出部の日常は、今日もトラブルだらけ。
理不尽な状況に耐え、無茶振りに応じ、予想外の展開に翻弄されながらも、田村は今日も営業スマイルで仕事をこなす。
これは、異世界転生ものの「裏側」で奮闘する、一人の社会人女性の物語。
真面目で有能だけど、完璧じゃない。時には叫び、時には逃げ出し、それでも前に進む。
そんな田村麻衣の、笑いと涙(?)の現地フォロー記録。
異世界の物語を支える、縁の下の力持ちたちの奮闘が、今始まる――。