あらすじ
秋田県の山間に佇む現川村(うつつがわむら)。
人間に疎まれ、孤独に生きてきた妖怪(あやかし)は、ある夏の日、東京から訪れた一人の少女と出会い、初めて「恋」という感情に触れる。
少女の夏休み──綾香の憂鬱から始まり、龍児との出会いによって物語が動き出す
短くも濃密な時間の中で、妖怪の龍児は彼女と忘れがたい日々を過ごす。人間の少女に心を寄せるのは、彼にとって初めての経験だった。
やがて少女が都会へ戻ると、龍児は人間の姿を借りて東京へ渡り、|御神楽 龍児《みかぐら・りゅうじ》と名乗り、夜の世界で頭角を現していく。
仲間と共に頂点を極めたその先で、龍児は再び、あの少女と再会を果たす。
そして彼は、築き上げた座を後進に譲り、彼女と共に、社会の片隅で生きる人々を支える新たな道を歩み始める。
これは、妖(あやかし)が人間の心に触れ、愛と共感を知り、やがて真の幸福を掴むまでの物語です。
なお本作は、筆者がレストラン事業を経営していた際、夜の商売を傘下に収めた経験を通じて着想を得たものです。