あらすじ
中学時代、全国レベルのプロ育成スクール「ラディアンス・テニス・アカデミー」に所属していた伊吹 陽太(いぶき ようた)。
周囲には“プロ予備軍”と見なされていたが、実際はスクール内ではプロを目指していたわけではないので、一度も全国大会に出ていない凡庸な選手だった。
実力と周囲の期待のギャップに疲れた伊吹は、中学卒業と同時にテニスから距離を置こうと、進学校の県立・双峰高校に進学。テニス部は弱くもなく強くもない「ちょうどいい」部活。のはずだった――
だが入学初日、元名門スクール出身であることが顧問にバレる。
「即戦力が来たぞ!」
「伊吹、やべぇって」
そんな空気に抗えず、彼は団体戦のシングルス3に抜擢される。部内の努力家エース、才能型の1年、元野球部上がりの身体派プレーヤー。多様なメンバーたちと共に、徐々にチームは強くなっていく。
だが、勝利が「自分の試合で決まる」ことが多くなるにつれ、
伊吹は“自分でない誰かに託したかった”気持ちと、
“それでも負けたくない”本音の間で揺れ続ける。
「俺は、勝ちたくてここに来たんじゃないのに……」
部活の負荷、周囲の目、戦力としての立ち位置。
そんな中、ついにやってきた団体戦 2勝2敗の場面。
彼は「また自分が勝たなきゃ終わる」状況に追い込まれる――