あらすじ
真昼の救急外来。兄・遥が運び込まれた薄暗い廊下で、僕(颯)は待っていた。
遅れて駆けつけた母は、僕を抱きしめる代わりに、震える声で尋ねた。
「颯……遥兄ちゃん、何か変じゃなかった?」
その瞬間、僕の中で何かがよじれる。
母は、目の前の兄の治療よりも、何か隠された秘密を探しているように見えたからだ。
兄のトラウマを抱えたまま時はながれる。雨宿りのため、僕は黒猫を連れた少女の家に招かれる。飢餓に苦しむ颯に、彼女は優しさと餌を与える。しかし、それは彼女自身の孤独と家庭崩壊から目をそらすための「餌付け」だった。