あらすじ
高校最後の夏、教室の隅でいつも一人、誰からも必要とされないまま過ごしていた玲音(れおん)。
勉強も遊びも苦手で、孤立することに慣れてしまっていた彼の前に、ひとりの転校生が現れる。
白い髪と瞳を持ち、まるで物語から抜け出してきたような存在感を放つヴァンガード。屈強な体に快活な笑顔、誰とでも瞬時に打ち解ける明るさ。教室はすぐに彼の中心を回り始め、玲音だけが取り残されていく……はずだった。
だがヴァンガードはなぜか執拗に玲音を巻き込み、花火大会や海、プールといった夏のイベントに無理やり引きずり出す。
騒がしさに翻弄され、嫌がりながらも、玲音の中に少しずつ変化が芽生えていく。
孤独だった世界に知らない色が差し込んでいく。
しかし楽しい時間は長くは続かない。
ヴァンガードは家庭の事情で転校が決まり、玲音と共に過ごす夏は突然幕を閉じる。
旅立つ前日、彼は玲音に最後の我儘として、自分の歌を聴かせるのだった。
教室の片隅から見上げた空に、青は見つからなかった。
けれど、ヴァンガードと過ごした夏の眩しさが、玲音の胸に消えない青を残していく――。