あらすじ
夕星小学校に勤務する教員、久野愛はもうすぐ28歳を迎える。
なぜか自分にだけ刺々しいベテラン女性教師・柳沢との関係に煩わされながらも、子どもたちと真剣に向き合う日々を送っていた。
そんな彼女を待ち受けていたのは、異例の人事発表。
最高学年の担任を受け持つという大抜擢に困惑する愛。しかし、拒否権はない。
愛は覚悟を決めて6年2組の教壇に立つが、ほとんどの児童がつまらなさそうに授業を受ける姿に、悩みは深まるばかりだった。
そんなある日の四時間目。お調子者の浅井陽翔が、不意に問いを投げかけた。
「社会って、どうやってできてるんですか?」
このシンプルな、けれど回答が難しい質問に正面から答えることを選んだ愛は、教科書を手放して「脱線」を始める。
いつもと違う様子の担任を前に、最初は戸惑っていた児童たちも、だんだん引き込まれ、教室は思わぬ熱気を帯びていく。
個性豊かな児童たちを巻き込みながら、授業は渾身の「社会学講義」へと姿を変えていくのだった。
小学校の教室を舞台に、「知る喜び」と「考える楽しさ」を描く、子どもから大人まで味わえる社会学小説!
【登場人物紹介】
久野 愛
小学校教師6年目。気が強そうに見えるが、自身の教師としてのあり方に悩む繊細な一面も。
◆6年2組の児童たち
浅井 陽翔(あさい はると)
クラスのお調子者ポジションにいる男子。授業中に何度も質問するその目的は愛をからかうこと……?
栄名 玲緒(えいな れお)
誠実で心優しい少女。目立つことは苦手。
押領司 未来(おうりょうじ みらい)
学級委員長を務める才色兼備な少女。難関中学の受験を控えている。
山条 彩葉(さんじょう いろは)
人懐っこく朗らかな関西出身の少女。鋭いツッコミの手腕をもつ。
博郷 義教(ひろさと よしみち)
恥ずかしがりやだが、自分の意見や考えはしっかりもっている。
袋井 公睦(ふくろい きみちか)
辞書を愛読している。もの静かで口数は多くないものの、その発言は鋭い。
◆愛を取り巻く人たち
柳沢 京子
教師歴三十年を超えるベテラン。保護者からの信頼も篤い。愛とは水と油の関係。
巫 侑
愛の中学時代からの知己。小学生の時に社会学に出合い、その面白さに目醒めた。